借地権の基礎知識

借地に建てた家を相続したときの5つの処分方法 ~売却・賃貸・返還・居住・放棄~

「親が借地に建てた家を相続したものの、その扱いに困っている」という人は多くいるでしょう。借地に建てた家を相続したときの選択肢は、主に下の5つです。

  1. 売る
  2. 貸す(賃貸に出す)
  3. 壊す(地主に返還)
  4. 住む
  5. 相続放棄する

この記事では、これらの選択肢を詳しく解説していきます。借地に建てた家を相続するあらゆるケースで、参考にしていただけるでしょう。

相続した借地権の家を売る方法

FOR SALEの看板と一軒家

借地に建てた家を相続した場合、売る方法は主に下の4通りがあります。

  1. そのまま売る
  2. 地主から土地を買い取って売る
  3. 地主に対して売る
  4. 地主と共同で売る

それぞれの売り方について解説していきます。

そのまま売る

一番わかりやすいのは、そのまま売る方法です。

  • 底地権(土地の所有権)は地主が持ったまま
  • 建物&借地権だけを売る

上のようなやり方です。このやり方のメリット・デメリットは下のようになります。

メリット わかりやすい。地主の承諾さえ得られればスムーズ
デメリット 売り値が安くなる。地主の承諾を得られないと厄介

解説が必要な部分を解説していきます。

地主の承諾

借地に建てた家(借地権と同じ意味)を売るには、地主の承諾が必要です。このため、地主が承諾sいないとすぐには売れません。

「すぐには」というのは、裁判所の許可を得れば売れるためです。一応地主の承諾が必要となっていますが、借地人が建物を売れないように阻止する権利は地主にはありません。

そのため、どうしても地主が承諾してくれないのであれば、裁判所に調停を申し立てればいいのです。調停でも決着が付かなければ裁判になります。

裁判になったら、地主の側の事情がよほど正当でない限りは、借地人が勝ちます。つまり、最終的には売れるということです。

ただ、わざわざ裁判や調停をするのはやはり面倒といえます。このような理由からメリット・デメリットのそれぞれで「地主の承諾」について書きました。

(地主の承諾さえあれば、すべての方法の中で特にスムーズかつシンプルなものの一つです)

売り値が安くなる

借地に建てた家(借地権と同じ意味)を単独で売ると、本来の価値より大きく下がります。借地権は、地主が持っている「底地権」とセットになって、大きな意味を持つものだからです。

これは「コーヒーカップ・ソーサー理論」と呼ばれます。

  • 借地権…コーヒーカップ
  • 底地権…ソーサー(受け皿)

このような例えです。コーヒーカップ(借地に建てた家)は単独でも使えますが、やはりソーサーとセットになった方が大きな価値があります。

(逆にソーサーは単独ではほとんど価値がありません。そのため、地主が持っている単独の底地権は、借地権より弱いといえます)

地主の底地権よりは強いものの、やはり借地に建てた家(借地権)単独では弱いものです。次に買う人にとっては「売却や転貸などあらゆることに地主の承諾が必要で面倒」な物件だからです。

もし、相続した家を「できるだけ高値で売りたい」ということであれば、「そのまま借地に建てた家だけで売る」ことは避けた方がいいでしょう。

地主から土地を買い取って売る

2つ目の方法は、地主から底地権を買い取って、「底地権+借地に建てた家(借地権)」を、セットで売る方法です。セットで売ることで、単独で売るよりも高い値段がつきます。

この方法のメリット・デメリットは下の通りです。

メリット 高値で売れる
デメリット 地主が底地権を売ってくれるとは限らない

底地権は地主のものなので、これを売るか売らないかは地主の自由です。これを強引に売ってもらう方法はありません。

建物買取請求権というものはあるが…

借地の借り主には「建物買取請求権」があります。これは、借地に建てた家を地主に買い取ってもらう権利です。

  • 契約が「旧借地権」か「普通借地権」である(定期借地権ではない)
  • 契約満了のタイミングで地主に買い取ってもらう(それ以外のタイミングではNG)

この2つの条件を満たすことで、借地に建てた家を必ず、地主に買い取ってもらえます。地主はこれを拒否できません。

このような権利はあるものの「底地を強制的に地主に売らせる」という法律はないのです(これは地主の権利を考えれば当然のことといえます)。

地主に対して売る

3つ目の方法は「地主に対して売る」というもの。これも1つ目の「そのまま売る」と並んでシンプルな方法です。

地主が買い取ってくれるなら、これが一番スムーズでしょう。第三者にそのまま売る方法だと、大きく分けて下の2つ作業が必要です。

  • 第三者に売る
  • 地主の承諾を取る

つまり、交渉相手が第三者・地主の2者になるわけです。一方、地主に売る場合は交渉相手は「地主だけ」です。

地主は買い取ってくれないことも多い

方法としてはシンプルなのですが、地主は買い取ってくれないことも多いのです。理由は下のようになります。

  • 「もともと自分の土地なのに、何で買わなくてはいけないのか」と思う
  • 「その土地は今のところ不要」だから、貸し出している

特に大きいのが1つ目の理由です。この点について説明します。

もともと自分の土地なのに、何で買わなければいけないのか

よく考えると不思議です。たとえば、レンタカーだったら下のようになります。

  1. 車を1年貸し出す
  2. 1年間、レンタル料をもらう
  3. 1年後に、車が返ってくる
  4. この時、レンタカー業者は何も払わない

このように、レンタカーのお客(借り主)が車を返すとき、レンタカー業者が払うお金は1円もないのです。これは一般的に考えて当然でしょう。「何で、貸していた側がお金を払って返してもらうのか」と思う人が多いはずです。

普通の物の貸し借りはそうなのですが、借地に関してはルールが変わります。その理由は下の通りです。

「地主は余裕があるが、借地人は余裕がないかもしれない」のが理由

まず、地主は「土地を貸し出している」という時点で、不動産に関して余裕があります。自分が住む場所は事業所は、別途持っているわけです。

一方、借地人は「その家しかない」「その事業所しかない」ということが多くあります。例外もあるでしょうが、基本的には「自分の土地がない」「他に家や事業所がない」という状況なのです。

こうした両者の条件を比較すると「生活弱者なのは借地人の方だから、借地人を守るべき」となります。累進課税のようなものだと考えて下さい。

このような理由から、地主が借地権を取り戻すときにもお金が必要になります。このルールを知らない、あるいは知っていても感覚的に受け付けられないという地主もいるものです。こうした地主が相手の場合、買い取りの交渉は難航します。

なお、借地に建てた家を地主に売る方法については、下の記事で詳しくまとめています。

地主と共同で売る

ここまで書いてきた通り、借地に建てた家と底地権は「セットにする方がいい」ものです。そして、その「セットにする方法」を、ここまでは2つ紹介してきました。

  • 自分が、底地権を買い取る
  • 地主に、借地に建てた家を買い取ってもらう

上記の2つですが、これに加えて「セットにするための3つ目の方法」があります。それが「地主との共同売却」です。

どちらかが買い取って登記をする手間が省ける

この方法の良い点は「どちらかが買い取る必要がない」「したがって、登記をする手間が省ける」という点です。登記の事務手続きはそれなりに負担がかかりますし、登録免許税というお金もかかります。

また、特に地主に買い取ってもらう場合、上に書いた通り「何で所有者の自分がお金を払うのか」という反対もあるものです。

共同売却だと承諾してもらえるケースも多い

上のような理由で反対する地主も、共同売却なら承諾してくれることが多くあります。「自分の土地を、自分がお金を出して買い戻す」という作業がないためです。

もちろん、共同で売った後、その売却益を「6:4」などの割合で、借地人の方が多くもらうことになります(このあたりは借地権と底地権の割合によってケースバイケースですが、6:4程度が多いものです)。

こうして見ると、やはり「土地の価値の大部分を借地人に取られている」ことは変わりません。しかし「直接自分が買い取る」場合に比べると、下のような理由で納得しやすいのです。

  • 売る過程で、自分が底地権だけで売るとどれだけ安くなるかわかる
  • 第三者の買い手や不動産会社などが入り、オープンに決まる価格である

特に大きいのは1つ目の理由でしょう。「現実に自分の底地権だけでは極めて安くなる」ことがわかれば、他の選択肢はないわけです。

「売る気がない」という地主なら別ですが、売りたいと思っている地主なら「6:4というのは納得がいかないが、仕方がない」と承諾してくれるケースが多くなります。

共同売却は信頼できる不動産会社を探すのが命

他の方法に比べて、共同売却は特に複雑なものです。間に信頼できる不動産会社が入っていなければ、売却が成立した後で地主と揉める可能性もあるでしょう。

他の方法でも、不動産会社を間に立てる場合は信頼できる会社を探すことが重要です。しかし、共同売却では特にそれが欠かせないと考えてください。

借地に建てた家を相続した後、賃貸に出す時のポイント

FOR RENTと書かれた家

借地に建てた家を相続して賃貸に出すときは、下のようなポイントを特に意識しましょう。

  1. 賃貸は地主の許可なしでもできる
  2. リフォームも地主の許可なしでしていい

以下、それぞれ詳しく解説していきます。

賃貸は地主の許可なしでもできる

借地に建てた家を貸し出すことは地主の許可なしでできます。大手不動産会社の公式サイトでも「特別な事情がない限り、承諾は不要」という内容が書かれています。

賃貸なら承諾が不要という理由は「建物の所有権は、借地人にあるため」です。

  • 土地の所有権…地主
  • 建物の所有権…借地人(借り主)

ということです。

転貸で「地主の承諾が必要」とされるケース

建物ではなく「借地権自体を転貸する」というケースでは、地主の承諾が必要になります。具体的には、下のような用途として他人に貸すというパターンです。

  • 駐車場
  • 資材置き場

いずれも「建物がない状態」です。実は、正確にはこれらには「借地権」は適用されません。あくまで「土地の賃借権」であり、この権利には「借地借家法」が適用されないのです。

「地主の承諾なしで転貸していい」というルールは、あくまで借地借家法によります。借地借家法が適用されない土地の借り方(厳密には借地でない借り方)だったら、転貸には地主の承諾が必要ということです。

(本来、どんなものでも転貸には持ち主の許可が必要なので、こちらが普通といえるでしょう。借地借家法のルールの方が特別ということです)

リフォームも地主の許可なしでしていい

借地に建てた家を相続した時、賃貸に出そうとすると大抵リフォームが必要になるでしょう。このリフォームは、地主の許可なしでしてかまいません。

借地のリフォームについては下のようなルールがあります。

  • 骨格部分(屋根・柱など)を変更するもの…承諾が必要
  • 骨格部分を変更しないもの…承諾は不要

たとえば下のようなリフォームは「地主の承諾なしでOK」となります。

  • キッチンのフルリフォーム
  • 浴室の全面改装
  • 壁紙・フローリングの全張替え

いずれも大掛かりなリフォームですが、このようなリフォームでも「骨格部分は変更していない」ということで、地主の許可を取る必要はないのです。

取り壊して地主に返還する時の注意点

解体作業の写真

借地に建てた家を相続した時、売るのも貸すのも面倒だと感じたら「取り壊して地主に返還する」という選択肢があります。この時のポイントをまとめると、下記の通りです。

  1. 期間満了前の返還は、取り壊しが必要
  2. 解体費用の相場は、1坪2.5万円~7万円程度

1つ目については、取り壊しを考えていなくても「期限前に返すなら、取り壊さなくてはいけない」ということです。以下、上記のポイントを解説していきます。

期間満了前の返還は、取り壊しが必要

借地契約の期間が満了する前に返還する場合、建物の取り壊しが必要となります。期間がちょうど切れる「更新時」だったら、この必要はありません。

「建物買取請求権」というものを使って「建物のままで、借地権と一緒に地主に買い取ってもらう」ことが可能です。しかし、期間が満了していない場合、これは使えないのです。

どんなタイプの借地権でもダメ

一般的な借地権には、下の3種類があります。

  • 旧借地権
  • 普通借地権
  • 定期借地権

上記のうち、旧借地権と普通借地権については、更新時であれば上の「建物買取請求権」が使えます。一方、定期借地権家には、最初からこの権利がありません。「必ず更地にして戻す」というルールになっています。

このため、期間満了前に借地を返還する場合、どんな種類の借地契約であろうと、更地にして返すのが必須ということです。

例外的に、地主が「どんな場合でも必ず建物ごと買い取る」という内容で契約書を書いていたら別です。しかし、そのような自分に相当不利な契約をする地主はまずいないでしょう。そのため、上記のように?明しています。

解体費用の相場は、1坪2.5万円~7万円程度

気になる建物の解体費用ですが、相場は1坪2.5万円~7万円となっています。建物の種類によって違うのですが、種類別に書くと下のようになります。

木造 2.5万円~6.0万円
鉄骨 3.0万円~6.5万円
RC 3.5万円~7.0万円

そして、一般的な住宅の坪数は35坪前後とされています。これに上の「構造別の坪単価」を当てはめると、下のようになります。

最安(木造の低い方…2.5万円) 105万
最高(RCの高い方…7.0万円) 245万円

5万円は誤差の範囲内なので、両方わかりやすくすると「110~250万円」となります。これが建物解体費用の相場だと思ってください。

「その他の工事費用」が追加される

実は建物の取り壊しには、上記の解体費用以外にも「その他の工事費用」がかかります。これはケースバイケースなので、一概にいくらとはいえません。

  • 工事車両が入りやすい場所か
  • 解体業者の事業所から、どのくらい離れているか10分
  • 庭に樹木・庭石などがあるか(多いほど不利)
  • 地中に埋設物があるか

このような諸条件によって変動します。確かなことは、上に書いた110~250万円に、さらに金額がプラスされるということです。

「壊すだけでそんなにかかるなんて」と思うかもしれませんが、実際に想像以上に高いので、相続人も払えずに放置されている空き家が多くあります(あるいは、払えるのに払いたくなくて放置しているケースもあります)。

空き家を放置していると、台風や地震・火災などの災害時に、ご近所の家屋に被害をもたらす可能性が高くなります。そのようなトラブルが起きた時の賠償費用や、お互いの精神的なダメージを考えると、やはり早期に相続した家を取り壊すべきといえるでしょう。

自分で住む時に知っておくべきポイント

引っ越しをする笑顔の夫婦

借地に建てた家を相続したときは、必ずしも処分しなくてもかまいません。自分で住めるようなら、住んで有効活用するのもいいでしょう。

自分で住む時のポイントをまとめると、下記の通りです。

  1. 所有者の変更に地主の許可は不要
  2. 承諾が不要なので、承諾料も不要
  3. 建て替え・増改築は地主の承諾が必要

それぞれ詳しく説明していきます。

所有者の変更に地主の許可は不要

これは他の処分方法でも同じですが、親や祖父母から相続した建物は、所有者の名義を変更する必要があります。このとき、相続であれば地主の承諾を取る必要はありません。

売買や譲渡なら承諾が必要ですが、相続のような「人間の死亡によってやむを得ず発生するケース」では、承諾が不要なのです。

承諾が不要なので、承諾料も不要

承諾が不要ということは、当然承諾料もいらないということです。しかし、相続人の知識のなさにつけ込んで、相続の場面で承諾料を要求する地主が一定数います。

もちろん、地主の側も必ずしも悪意でやっているのではなく「単純にルールを知らなかった」という可能性もあるでしょう。ただ、どちらにしても承諾料は法的に不要ですから、払う必要はありません。

建て替え・増改築は地主の承諾が必要

自分で住む場合、建物を建て替えたくなることもあるでしょう。しかし、建て替えについては地主の承諾が必要なので注意してください。

建て替えの定義については他の部分でも少し触れましたが「骨格部分が変わるかどうか」です。骨格部分は「屋根・柱・基礎コンクリート」などを指します。

逆に言えば、これらの部分に変更を加えないリノベーションは自由にできる、ということです。

借地に建てた家の相続は放棄できる?

ヨーロッパの古家

「売却も賃貸もできそうにないし、地主も買い取ってくれない」「取り壊しの費用も出せない」

このようなケースでは「相続放棄」を考えることも多いでしょう。借地に建てた家の相続放棄についての主なポイントは下記の通りです。

  1. 結局、解体費用は出さなければいけない
  2. 民法940条で規定されている
  3. 災害でトラブルが起きる前に早く取り壊すべき

以下、それぞれのポイントについて説明します。

結局、解体費用は出さなければいけない

結論を書くと、相続放棄をしても取り壊し費用は出さなければいけません。「親が厄介な遺産を残した時点で、それを処理するのは子供の仕事」ということです。ゴミ屋敷の処理と同じだと思ってください。

相続放棄した場合の解体費用がどうなるかは、専門家が下のように書いています。

(前略)
市町村長は
(中略)
建物の解体等の必要な措置を講ずるよう
(中略)
命令を出すことができます。
(中略)
解体等の措置を実施することができ
(中略)
それによって生じた費用を所有者又は管理者に負担させることができます。
相続放棄した空き家の解体費用について(弁護士ドットコム)

原文は「正確な文章」なので、そのまま引用するとかなり長くなります。そのため、上記のように「特に必要な部分」のみ抜粋しました。

たとえば「命令」の前に「助言・指導・勧告などの手続きを経た上で」などの文章があります。これも要は「命令できる」ということなので、そうした最重要な部分のみ抜粋しています。

上の引用文を読んで「いや、俺は所有者でも管理者でもない」と思うかもしれません。しかし、親が死んだ時点で残念ながら「管理者」にはなってしまいます。

民法940条で規定されている

「親が死んだ時点で子供が管理者になってしまう」ということは、民法940条で規定されています。より正確に書くと、下の通りです。

  • まず、相続人(主に子供)が自動的に管理者になる
  • 「次の管理者」を見つけるまでは、ずっと相続人が管理者のまま
  • 相続放棄をしても、それは変わらない

そして、相続放棄をした場合の「次の管理者」というのは、国が選定する「相続財産管理人」です。しかし、この管理人を選定してもらうにも「選任申し立て費用」を、自分が払わなければいけません。

さらには、解体費用もほとんどのケースで払わされることになります。そうしなければ自治体の財政がどんどん圧迫されていくためです。

誰も「赤の他人の空き家の解体費用」は出したくない

「どうして親が残した空き家でここまで負担をかけられなくてはいけないのか」と思うかもしれません。その気持ちはもっともですが、それは自治体やその町の住民も含め、赤の他人だったらもっと強烈に思うことです。

相続人の子供ですら「こんなお金払いたくない」と思うなら、赤の他人はもっと払いたくないでしょう。そのため「子供に払わせる」のは当たり前といえます。

もちろん、子供たちが全員自己破産しているような状況なら話は別です。しかし、相続放棄をしただけで、解体費用を払うだけの経済力はあると判断されたら、おそらく払わされるでしょう。

災害でトラブルが起きる前に、早く取り壊すべき

上記のように、相続放棄をしても親が残した空き家の解体義務を免れることはできません。どの道やらなければいけないなら、早めにやった方がいいでしょう。

遅れると、その間に災害が起きて近隣家屋に迷惑をかけ、トラブルになる可能性があります。強力な台風なら、普通に生活している家でも戸板や雨戸などが飛んでいくものです。短期間でも空き家になっていれば、そのような被害が起きる可能性は十分にあるでしょう。

親が亡くなる前から準備をしておくのがベスト

結局、壊すしかないような空き家を親が残して亡くなってしまった時点で、選択肢は消極的なものしかないといえます。虫歯の治療と同じで、一度虫歯になったら、どんな治療でも予防にまさる選択肢にはならないのです。

借地に建てた家についても、そうでない家についても、親の実家の処分については、親が生きているうちに準備をしておくのがベストといえるでしょう。

まとめ

木の板の上に並ぶ家の模型

以上、借地に建てた家を相続したときの選択肢について解説してきました。最後にポイントをまとめると、下のようになります。

借地に建てた家の相続・まとめ
  • 売却…第三者や地主に売る、地主と共同売却するなど
  • 賃貸…地主の承諾なしで可能(リフォームもOK)
  • 返還…期限前なら建物を解体して更地にして返す
  • 居住…登記の変更に地主の承諾は不要
  • 放棄…相続放棄をしても解体費用は払わないといけない

選択肢の中で一番多くの人が頭を抱えるのは、やはり「相続放棄をしても解体費用を払わないといけない」ということでしょう。大変ではありますが、親の介護と同じく、親の死後の建物の処理も「子供の仕事」と考え、できるだけ早期に対処するようにしてください。