借地権の基礎知識

借地権で駐車場を経営&個人使用する時のポイントを解説!車庫証明は誰にもらう?

「駐車場を経営したいけど、土地を買えないので借地で始めたい」
「借地を借りているけど、余っている部分があるので駐車場にしたい」

上記のようなことを考えている方は少なくないでしょう。そして、こうした考えが浮かんだ時、下のような点を知りたいかと思います。

  • そもそも、借地を駐車場にできるのか
  • 駐車場にする時は、何をすればいいのか

これらについて、簡単に結論を書くと下の通りです。

  • 駐車場にできるか?→できる
  • 何をすればいい?→地主の承諾をもらう&整地工事

以下、これらの点も含めて「借地を駐車場として使う」ことについて、解説していきます。

借地を駐車場にする時の3つのポイント

晴れた空の下の駐車場

借地を駐車場にすることについて、主なポイントをまとめると下の3点です。

  1. 個人使用の駐車場なら自由
  2. 「事業として人に貸す」駐車場は許可が必要
  3. 建物のない駐車場なら、借地権でなく「土地の賃借権」になる

以下、詳しく説明していきます。

個人使用の駐車場なら自由

たとえば借地に家を建てて住んでいて、その庭の一部を駐車場にするというのは、まったく問題ありません。

ただ、車を所有している時点で「車庫証明」が必要です。この車庫証明の書類は地主に書いてもらう必要があります。

つまり、借地権のルールとして庭を駐車場にすることは問題ないものの「車庫証明の書類をもらう」という作業は必要です。これが借地権やより後になると、地主によっては何らかの条件を付けてくることもあるかもしれません。

そのため、借地を自宅用に使う場合は、駐車場についてのルールも借地の契約を交わす段階で決めておき、契約書に明記しておくのがいいでしょう。借地での車庫証明については下の段落で詳しく解説しています。

借地の駐車場の車庫証明は、誰にもらえばいい?

「事業として人に貸す」駐車場は許可が必要

「借地で駐車場を経営したい」という場合、地主の許可が必要です。また、駐車場以外の形態でも「事業として人に貸す」という場合は、すべて地主の許可が必要になります。

もちろん、最初からそのような内容で契約を交わしたなら問題ありません。その段階ですでに地主が承諾しているためです。

こう書くと「最初から何にでも使える契約をしておくのがいい」と思うかもしれません。しかし、利用用途が広いほど地代も高くなることが多いものです。そのため、事業として転貸することの許可は、それが決まってから取る方がいいでしょう。

借地権の駐車場としての転貸については、下の段落で詳しくまとめています。

借地権は駐車場として転貸できる?

建物のない駐車場なら、借地権でなく「土地の賃借権」になる

駐車場として転貸する場合、それが立体駐車場のような「建物のある駐車場」だったら「借地権の転貸」になります。一方、建物のないコインパーキングのような駐車場だったら「土地の賃借権の転貸」になります。

借地権は非常に強い権利ですが、賃借権は比較的弱い権利で、地主の立ち退き要求などに抵抗し切れないケースが多くあるものです。このため、権利の強さと駐車場の建設にかかるコストのバランスも考える必要があります。

この点については下の段落で詳しく解説しています。

建物がない駐車場は「貸地」になる

借地は駐車場として転貸できる?

空っぽの駐車場

借地を駐車場として転貸する時のポイントは、下の通りです。

  1. 地主の許可があれば可能
  2. 無断転貸の場合、地主は借地権の解除もできる

以下、詳しく説明します。

地主の許可があれば可能

借地の転貸は、地主の承諾があれば可能です。利用用途は駐車場でも何でも変わりません。

要は所有者である地主が許可さえすれば、どのように転貸しても構わないということです(もちろん、行政の許可が必要な用途は除きます)。

無断転貸の場合、地主は借地権の解除もできる

もし無断で駐車場として転貸した場合、地主はその借地権を解除できます。つまり、借り手を追い出すことが可能です。これは公的機関も下のように書いています。

(前略)
特定の第三者に月極駐車場などとして賃貸することは転貸となり、土地賃貸人の承諾を要する。
(中略)
賃貸人は、賃借人の無断転貸を理由として、土地の賃貸借契約を解除することができる場合がある。
借地権者が、賃貸人の承諾を得ないで、借地の一部を駐車場として賃貸することは無断転貸に該当するか(公益社団法人・不動産流通推進センター)

上の説明では「解除できる場合がある」と書かれており「絶対に解除される」というわけではありません。しかし、本来普通に使っていれば「更新時期まで絶対に解除されない権利」である借地権が、途中で解除されるリスクが生じるわけです。この時点で、借り手にとっては「十分にデメリットの大きい選択肢」といえます。

借地で駐車場の経営をする時の4つのポイント

コインパーキング

「借地で駐車場を経営したい」という人も多いかと思います。借地を使った駐車場経営について、主なポイントをまとめると下の4つです。

  1. 地主の許可があれば可、なければ不可
  2. 返還する時は更地に戻すのが原則
  3. 建物がない駐車場は「貸地」になる
  4. 貸地の権利は借地より弱い

以下、それぞれのポイントについて説明します。

地主の許可があれば可、なければ不可

借地で駐車場の経営をするには、地主の許可が必要になります。これがあれば経営でき、なければできないというシンプルなルールです。

「借地ということは土地の利用権を借りたのだ。だからどう使っても自由なはずだ」と考える人もいるかもしれません。しかし、これは間違いです。

民法の「用法遵守義務」に抵触する

無断で借地を駐車場として使った場合、民法の「用法遵守義務」に違反する恐れがあります。この義務は文字通り「用法を正しく守る」というものです。

「居住用」として契約したなら、居住用のみに使わなければいけません。借地で駐車場を経営したいなら、その用法についても地主の許可を取らなければいけないということです。

返還する時は更地に戻すのが原則

駐車場経営をした後、いつか返還する時も来るでしょう。この時には、更地にして戻すのが原則です。

立体駐車場のような建物を撤去するのは当然ですが、アスファルトや砂利を敷いていた場合も、それらを撤去します。

「更地にする必要がない」という内容が契約書にあれば別

上記のルールは「一般的なもの」です。もし、借地の契約書に「更地で返す必要はない」と書かれていたら、上記のものは「そのまま」で返還してもかまいません。

しかし、このようなものを残されると、地主も困ることが多いものです。したがって、ほとんどの借地契約では「返還時には更地にして返す」というルールが定められています。

建物がない駐車場は「貸地」になる

「建物がない駐車場」として使う場合、借りた土地は「借地」ではなく「貸地」になります。『コインパーキングで年1200万円儲ける方法』(ダイヤモンド社)の著者である上原ちづる氏も、コラムで下のように書いています。

貸地は、
資材置き場、駐車場
として利用できますが、建物は建てられません
えつ?!コインパーキングは貸地と借地権どちらで?!(楽待・不動産投資新聞)

上の説明を読んで、下のように考える人もいるかもしれません。

  • 「貸地に建物を建てられない」ことはわかった
  • では「借地を建物なし」で運営したらどうか?

これなら「貸地」でなく「借地」という扱いで、駐車場の土地を借りてもいいのではないか?という発想ですね。結論を書くと、これはできません。

借地には必ず建物がなければいけない

借地権は、あくまで「建物がある時のみ」認められる権利です。「家や店舗を構えている人を追い出すのはかわいそう」という理由で、こうした人に対して強い権利が与えられた―、というのが借地権の生まれた経緯です。

このため、建物がなければ「借地借家法」で借地と認定される土地にはなりません。一般人が普通の日本語として「借地」と呼ぶのはかまいませんが、不動産用語・法律用語での「借地」にはならないということです。

貸地の権利は借地より弱い

貸地の権利は、普通の「賃借権」です。たとえばレンタカーはレンタル料金を払った日数分は、その車両を借りる権利があります。このレンタカーが土地に変わったのが、貸地の「賃借権」です。

これは貸し手が違約金などを払えば、いつでも契約を解消することができます。レンタカーにしても建物のない土地にしても「取り上げられて直ちに困るものではない」ためです。

正確には困るのですが、住居や事業所ほど困るものではありません。駐車場は取り上げられたら打撃を受けますが、その分の損害補償は当然してくれます。

このように、追い出される時はお金をもらえるので大きな問題はありません。しかし、借地と違って貸地の場合は「お金をもらって追い出されることもある」ということです。

立体駐車場などの建物があれば借地になる

これは整地費用の段落でも述べましたが、建物があれば権利は「借地権」になります。駐車場でいうなら「立体駐車場」がそれに当たるでしょう。

ただ、言うまでもなく立体駐車場の建設は大変です。「権利を借地権にするため」というだけの理由で建設するものではありません。

最終的には、権利が借地権であろうと賃借権であろうと「駐車場として利益を出せるかどうか」で考えるべきでしょう。

借地の駐車場の車庫証明は、誰にもらえばいい?

車庫

借地上の戸建住宅に住んでいるケースなど「借地で駐車場の車庫証明をもらう」ということもあるでしょう。このような時、車庫証明を誰にもらえばいいかが気になるかと思います。

これについてポイントをまとめると、下のようになります。

  1. 原則は地主
  2. 管理会社が管理している場合、その会社が代理でもOK
  3. 「その物件に関していつも連絡している所」にまず連絡

以下、それぞれのポイントについて説明します。

原則は地主

借地で駐車場を利用するとき、車庫証明は基本的に地主にもらいます。理由は下の通りです。

  • 車庫証明は「土地の所有者」がサインするもの
  • 土地の所有者は地主である
  • そのため、地主の許可が必要

車庫証明というと「車庫の所有者が、その証明をする」という印象を受けるかもしれません。しかし、正式名称は違います。正式名称を見れば「土地の所有者のサインが必要」というのを実感できるでしょう。

正式名称は「保管場所使用承諾証明」

車庫証明の正式名称は「保管場所使用承諾証明」といいます。「自動車保管場所証明」ということもありますが、提出する書類は「保管場所使用承諾証明書」です。

つまり、車庫証明とは「この場所で車を保管することを許可します」という証明なのです。この許可は当然「この場所」を所有している人でないとできません。そのため、土地の所有者である地主のサインが必要になります。

管理会社が管理している場合、その会社が代理でもOK

借地の管理は、常に地主が直接しているわけではありません。

  • 地主は所有権を持っているだけ
  • 管理は管理会社がしている

このようなケースもあるでしょう。その場合は、その管理会社が代理で車庫証明の書類を書いてくれることもあります。

「その物件に関していつも連絡している所」にまず連絡

借地の駐車場での車庫証明は、特に難しく考える必要はありません。「その物件に関して、いつも連絡している所」に連絡すればOKです。

いつも地主に連絡しているなら地主、管理会社に連絡しているなら管理会社、ということです。手数料はかかっても数千円ということが多いので、それほど大きな負担にはならないでしょう。

(ただ、管理会社と地主のやり取りで多少日数がかかる可能性があるため、書類をもらうまでに2週間程度はかかると考えておく方がいいかと思います)

土地を借りて駐車場にする時の整地費用は、どの経費科目になる?

整地作業

土地を借りて、その借地を駐車場にする時、整地作業をすることも多いでしょう。この時の費用をどの経費科目に算入するか、悩む人も多いかと思います。

この点について、特に重要なポイントは下の2点です。

  1. 大部分は「土地の権利の取得費用」になる
  2. 「建物がある駐車場は借地権、ないなら賃借権」の取得費用

より細かい経費科目の分類はこちらでまとめています。

大部分は「土地の権利の取得費用」になる

結論を書くと「大部分は土地の権利の取得費用」となります。「土地の権利」とは下の2つのいずれかです。

  • 借地権
  • 賃借権

どんなケースでそれぞれが適用されるのかを解説します。

「建物がある駐車場は借地権、ないなら賃借権」の取得費用

簡単に書くと下のようになります。

  • 建物が「ある」駐車場…借地権
  • 建物が「ない」駐車場…賃借権

具体的な駐車場の種類でいうと、下の通りです。

立体駐車場 借地権
コインパーキング 賃借権
青空駐車場(舗装の有無を問わず) 賃借権

このように、多くのパターンは「賃借権」となります。借地権はもともと「建物が土地上にある時のみの権利」だからです。

そして、ここから先は「整地費用がどの経費科目になるか」を、整地費用の種類別に説明していきます。

「整地費用の種類ごとに、どの経費科目になるか」の一覧

「借地を駐車場にする時の整地費用」には、主に3種類あります。その3種類ごとに「どの経費科目になるか」をまとめると、下の通りです。

以下、詳しく説明します。

建物の解体費用…「借地権・賃借権」の取得費

その土地に建物が建っていた場合、駐車場にするには解体(取り壊し)から始まります。この費用は「土地の権利(借地権・賃借権)の取得費用」となります。

理由は「土地の権利を取得するために、その建物を壊すことは必須だった」と考えられるためです。

その建物を短期間でも使う予定があったら、「土地の権利を得るために、建物を壊すことが必須だった」とはいえません。しかし「建物をまったく使わず、最初から駐車場にするつもりだった」なら、「建物を壊すことが必須だった」といえます。

土地を使うために建物を壊すことが必須だったら、「その取り壊し費用は、土地の権利を得るための費用だった」といえるわけです。

土地改良の費用…「土地の権利」の取得費

土地改良・地ならしなどの費用についても同じです。駐車場として活用するためには、この作業は必須だからです。

「建物の解体」と同じ、「土地を借りる目的を達成するために必要なこと」なので、「土地の権利を取得するための費用」と見なされます。

アスファルトなどの舗装費用…「構築物」の取得費

土地改良や地ならしが終わった後、駐車場では下のような舗装をするものです。

  • 砂利を敷く
  • アスファルトで舗装する

これらの費用は「構築物」の取得費となります。つまり、ここで初めて「土地の権利の取得費」ではなくなるわけです。

理由…これらなしでも駐車場にできるため

駐車場は、いわゆる青空駐車場だったら「土だけ」でもできるものです。「最低限ロープは要る」と思うかもしれませんが、木の棒で地面に線を引くなどすれば、一応駐車してもらうことはできます。

(実際、田舎で「特定の季節だけ駐車の需要がある」という場合は、そのように駐車場を運営しているケースもあります)

つまり、砂利やアスファルトについては「土地を借りる目的を達成するために、絶対に必要なものではなかった」と見なされるのです。このため「土地の権利の取得費用とはいえない」と判断され、「砂利・アスファルトなどの物質そのものを得るための費用だった」と考えられます。

コインパーキングの設備・立駐なども、もちろん構築物

砂利やアスファルトが「構築物」になるわけですから、コインパーキングの設備や、立体駐車場の建物なども当然構築物になります。構築物は普通の建物と同じく減価償却をする「償却資産」です。

このため、毎年の確定申告で減価償却の計算をする必要があります。

まとめ

夕暮れの駐車場

以上、借地を駐車場として使うことについてまとめてきました。最後にポイントを整理すると、下記の通りです。

借地の駐車場使用・まとめ
  • 借地も駐車場として使える
  • 個人で使うなら地主の許可は不要
  • 他人に貸して事業にするなら、許可が必要
  • 建物のある駐車場なら借地権、ない駐車場なら土地の賃借権になる
  • 自分の駐車場として使うときも、車庫証明だけは地主にもらう必要がある

特に借地で駐車場を経営することについては、それで大きな利益をあげている不動産投資家の方も多くいます。借地での駐車場経営を考えている場合、そうした方々の体験談も参考にするといいでしょう。

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