借地権の基礎知識

借地権の権利金は必要?金額の相場や返還の有無を解説!

借地権の契約を結ぶとき、借り主が地主に対して「権利金」を支払うことがあります。これについて、下のような疑問を持つこともあるでしょう。

  1. 権利金は本当に必要なのか
  2. 相場はいくらなのか
  3. 期限が来たら返してもらえるのか

それぞれ結論を先に書くと下記のようになります。

以下、上記の3つのポイントも含めて、借地権の権利金について解説していきます。

借地権の権利金とは?

ミニチュアの家

最初に、借地権の権利金の概要について説明します。ポイントを箇条書きすると下の通りです。

以下、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

「借地権を設定してもらうこと」への対価

借地権の権利金とは「借地権を設定してもらうことへの対価」です。土地の借り主から地主に対して払います。

支払いは法的な義務ではない

借地権の権利金の支払いは、法律的な義務ではありません。つまり、支払いを拒否することも可能です。

しかし、一般的に「権利金の慣行のある地域」では支払われます。支払わないなら借地権の契約自体ができないことが多いでしょう。

権利金の慣行とは?

これは文字通り「その地域で、借地権の設定時に権利金を支払う慣習があるか」ということです。

  • 慣行がある…支払いが必要
  • 慣行がない…支払いは不要

上記のように考えて下さい。

国税不服審判所の説明

権利金の慣行について、国税不服審判所は下のように説明しています。

ただし、借地権の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。
平20.6.27、裁決事例集No.75 582頁(国税不服審判所)

太字部分を要約すると、下記のようになります。

  1. まず、その土地で「借地権の慣行があるか」をチェックする
  2. ないと判断したら「その土地の借地権価格」は評価しない

借地権価格とは、国税庁が土地ごとに決めている数字です。番地単位で細かく地図で指定し「ここは60%、ここは70%」という風に指定しています。

上の引用文はこの借地権価格の指定は、借地権の慣行がある場所でのみ行うということです。国税庁の地図(路線価図・評価倍率表)に借地権割合が書かれていない地域は、借地権の取引慣行がないことを意味します。

借地権割合とは何か

これは「その土地で、借地権の占める価値がどれだけあるか」という数値です。30%~90%の間で指定されます。

たとえば5000万円の土地で借地権割合が90%なら、借地権の価格は4500万円です。残り10%=500万円が底地権で、地主の持っている資産価値となります。

借地権の記号がなければ、権利金は原則不要

上記の30~90%の借地権割合は、国税庁の地図上で「A~G」の記号によって示されています。

A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

アルファベットと借地権割合の一覧は上記の通りですが、これらの記号がなかったら「借地権割合の指定がない」ということです。

そして、借地権割合の指定がない場所では「権利金の慣行がない」とみなされ、権利金の支払いは原則不要となります。

ただし、最終的に借地権を設定するか(あなたに土地を貸すか)は地主の自由です。地主が権利金を要求して、あなたが払わないということであれば、最初から契約ができないケースもあります。

一応、ここまで書いたような「取引慣行から判断する方法」がありますが、最終的には「本当に土地が必要なら、ある程度まで地主に合わせる」と考えてください。

(なお、借地権割合については下の記事で詳しく解説しています)

借地権の権利金の会計処理・3つのポイント

税務のイメージ

借地権の権利金の会計処理・税務をどうするか、悩むこともあるでしょう。特に重要な3つのポイントをまとめると、下記の通りです。

以下、それぞれのポイントについて説明します。

権利金は「利益」になる

当然ながら、権利金は地主側にとって利益になります。土地を借りる側からしたら損失ですが、会計処理は地主の方が重要なので、地主の側に立って書きます。

利益は益金・収益など別の呼び方をされることもありますが、要は「権利金=儲かった分」と考えてください。

土地の時価の下落分は「損失」になる

あなたの土地に借地権が設定されると、その土地の時価は下がってしまいます。借地権は地主側にとって制約が多いため、借地権つきの土地を買いたがる人は少ないためです。

たとえば、借地権を設定する前、あなたの土地に1億円の価値があったとします。それが「借地権の設定によって4000万円まで価値が落ちてしまった」ということなら「6000万円の損失」と見なされるわけです(単純にいうと)。

もしこれで権利金を500万円程度もらっていた場合、両者を相殺して「5500万円の損失」となります。この分は課税所得が少なくなるので、税金も安くなります。

損失に計上できるのは「50%以上下落した場合」のみ

上記のように「時価の値下がり分を損失に計上できる」のは、50%以上下落したときのみ、という条件があります。たとえば30%しか下落していないなら、その金額がいくら大きくても、損失に算入できないのです。

借地権の税務を自分のみでこなすということは少ないかもしれませんが、確定申告のときには上記の点に注意してください。

借地権の権利金に返還義務はある?

お金を返す人

借地権の権利金は、賃貸の敷金や保証金のように返還されるものなのか、という点も気になるでしょう。これについてポイントをまとめると下の通りです。

以下、それぞれ解説していきます。

原則、返還義務はない

借地権の権利金は、基本的に返還の義務がありません。これは最高裁の「昭和29年3月11日」の判決から読み取れるものです。

つまり、地主は一度権利金をもらったら「原則、それを完全に自分のものにできる」といえます。

期間途中で「地主側から終わらせた場合」は必要なことも

上記はあくまで「原則」であり、返還が必要にあるケースもあります。その代表的なものは地主から「期間の途中で借地契約を終わらせた場合」です。

普通借地権でも定期借地権でも必ず一定の期間があります。その途中で「地主の側から」借地契約を終わらせたら、権利金の返還を要求されることが多いでしょうし、裁判所も返還を認めることが多いでしょう。

(借地契約の期間については、下の記事で詳しくまとめています)

権利金には2つの性質がある

一口に権利金といっても、大別して下の2つの性質があります。

  • 借地権設定の対価
  • 地代の前払い

2つ目の地代の前払いの場合、期間途中で終了したら当然返還の義務があります。この場合は、終了させたのが地主の側でなくても返還が必要になる可能性もあります。

逆に一般的な1つ目の「権利設定の対価」の場合、少なくとも借主の側から契約を終わらせた場合は、返還の必要はありません。

借地権の権利金の相場はいくら?

札束の上の家の模型

借地権の契約を結ぶときの権利金の相場は、下のように言われています。

以下、詳しく説明します。

更地価格の6~9割が一般的

あくまで目安ですが、借地権の権利金の相場は「更地価格の6~9割」とされています。更地価格は「借地権などが一切ついていない、普通の土地としての値段」です。要は、権利金の相場は「土地価格の6~9割」といえます。

近年は下落傾向にある

上記のように長年いわれてきたものの、近年は借地権の権利金も下落傾向にあります。日本の人口が今後減少していくことが確実で、不動産市場の先行きが未知数ということも、理由の1つと言えるでしょう。

地上権の権利金

ミニチュアの家と1万円札

借地権とよく似た権利として「地上権」があります。この地上権の権利金について「支払い義務があるのか」「相場はいくらか」という点が気になることも多いでしょう。

また「そもそも地上権とは何か」という疑問もあるかと思います。この段落ではこれらの疑問について、下のように説明していきます。

以下、それぞれ解説していきます。

地上権とは?借地権とどう違う?

簡単にいうと、地上権は、借地権がより強力になったものです。具体的には下のような点で、借地権より強い権利になっています。

  • 地主に無断で第三者に譲渡(売却)できる
  • 登記が必須で、登記されている以上「法務局も認めた権利」である
  • 地主以外の第三者にも権利を主張できる

1つ目ですが、地上権でなく借地権の場合、第三者に売るには地主の承諾が必要です。このとき地主に対して承諾料を払うことが多くあります。

しかし、地上権ならそのような許可をとる必要もなく、承諾料を払う必要もないのです(承諾料については、下の記事を参考にしていただけたらと思います)。

地上権は登記が必須である

借地権の場合、地主がその権利を登記する義務がありません。しかし、地上権では義務があります。

登記するということは、法務局にその権利を認めてもらうということです。つまり、あなたが地上権を持っていたら、そのことを法務局が証明してくれます。

これが「第三者に対して権利を主張できる」ことにつながり、専門用語で「第三者への対抗要件」と呼ばれます。逆に借地権ではこの登記がないため、権利が弱くなります。

地上権よりは権利が弱いものの、借地権も「事実上登記があるようなもの」と見なすことはできます。あなたの建物の登記があれば、それが「借地権の登記」と見なされることもあるのです。理由は「他人の土地の上に建物を建てている時点で、借地権を取得しているとしか考えられない」ためです。

このように、一応借地権でも権利は認められるのですが、やはり登記が正式にある地上権の方が強いのです。

権利金でなく「地上権設定料」と呼ぶことも

地上権の場合、権利金という呼び名でなく「地上権設定料」と呼ばれることもあります。これは借地権でも同じで「借地権設定料」と呼ぶこともあるのです。

「設定料」と呼ぶことで、先に書いた「権利金の2つの性質」のうち「権利の設定への対価として払った」ことが明確になります。もう1つの「地代の前払い」という性質の支払いではない、ということです。

売買価格の2~7割程度と幅広い

地上権の権利金の相場は明確に決まっていませんが、大体売買価格の2~7割程度とされています。売買価格とは「その地上権を購入するのにかかった金額」です。

一応このような相場はあるものの、下限の2割と上限の7割ではあまりにも差があるので、参考程度に考えてください。

まとめ

以上、借地権の権利金についてまとめてきました。最後に要点を整理すると、下のようになります。

借地権の権利金・まとめ
  • 法的には支払の義務はない
  • しかし「権利金の慣行」があるなら、必要とされる
  • 慣行の有無は「借地権割合の指定の有無」で決める
  • 「路線価図」で借地権割合が書かれていれば、慣行がある
  • 借地権割合が書かれていない地域は、慣行がない

借地権の権利金は、借主としては払いたくないと思うかもしれません。しかし、最初に払っておくことで、自分の権利が明確になって後々トラブルが起きにくくなるというメリットもあります。

上記のように借地権割合がある土地では「払うのが一般的」なので、不動産会社のアドバイスなどももらいつつ、地主と交渉するようにして下さい。

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