借地権の基礎知識

借地権の固定資産税はかかる?土地は非課税だが建物は課税される!

「借地権に固定資産税はかかるのか?」という点が気になる人は多いでしょう。結論は下の通りです。

  • 土地にはかからない(地主が払う)
  • 建物にはかかる(自分が払う)

法的にいうと「借地権」に対しては、固定資産税はかかりません。しかし「建物の所有権」に対しては固定資産税がかかるのです。

以下、この点を中心に「借地権の固定資産税と、その他の税金」について解説していきます。固定資産税を含め、借地権にかかる税金を知りたい方には、きっと参考にしていただけるでしょう。

土地には課税されないが、建物には課税される

コインと家の模型を積み重ねている指

上に書いた通り、借地権の固定資産税は「土地にはかからない、建物にはかかる」というルールになっています。この点を、下の項目に分けて説明します。

  1. 固定資産税は土地・建物それぞれの所有者に課税されるもの
  2. 借地権なら、土地の分は地主が払い、建物の分は借り手が払う
  3. 建物がないなら、借り手にかかる固定資産税はない

以下、それぞれの説明です。

固定資産税は土地・建物それぞれの所有者に課税されるもの

固定資産税は、土地・建物のそれぞれに課税されます。「自分の土地&自分の家」という場合は、両方合わせて納税します。片方だけ所有していたら片方だけです。

借地権なら、土地の分は地主が払い、建物の分は借り手が払う

借地権ということは、土地の所有権は地主が持っています。そのため、土地の分の固定資産税は地主が払います。

一方、借地権を得るためには「土地上に建物がある」「その所有権を自分が持っている」ということが必要です。建物なしで土地を借りるだけの場合、それは「土地の賃借権」となり、借地権にはなりません。

そのため、借地権を持っているという時点で、固定資産税の納税者はそれぞれ下のように分かれます。

  • 土地の分…地主
  • 建物の分…借り手

「建物がない場合」については、次で説明します。

建物がないなら、借り手にかかる固定資産税はない

建物がない場合、固定資産税が借り手にかかることは一切ありません。土地の固定資産税を地主が払い、それで終わりです。

「固定資産税以外で、継続的な税金があるのではないか?」と思うかもしれません。しかし、これも無しです。

土地を借りることには、消費税もかからない

唯一かかりそうなのは消費税ですが、これも土地の貸し借りに関しては非課税です。建物があってもなくても同じです。国税庁の公式サイトでは下のように書かれています。

土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています(非課税取引)。
地代、家賃や権利金、敷金など(国税庁)

上記の続きには「土地には、土地の上に損する権利も含まれます」と書かれており、その権利として下のようなものが挙げられています。

  • 地上権
  • 土地の賃借権
  • 地役権
  • 永小作権

地上権「土地の上を自由に使う権利」なので、借地権とほぼ同じ意味です。土地の賃借権は「建物なしで土地を借りるときに発生する権利」です。

このように、建物があってもなくても「土地を借りる時の税金は非課税」となります。

借地権の固定資産税は地代に含まれている

ここまで書いてきた通り、借地権に固定資産税はかかりません。しかし、実際は地代に含まれているため「ある意味、借り主が払っている」ともいえます。市区町村に直接納税するのが地主、というだけです。

このように「事実上払う」わけですが、「地代以外の追加の支払いがない」という点では安心できるでしょう。

地域によっては「都市計画税」もかかる

都市の航空写真

地域によっては、固定資産税とよく似た税金の「都市計画税」がかかります。この税金についてポイントをまとめると下の通りです。

  1. 「都市計画区域」だと必要
  2. 固定資産税と同じく「建物のみ」かかる
  3. 建物がないならかからない(駐車場など)

それぞれ詳しくみていきましょう。

「都市計画区域」だと必要

都市計画税は「都市計画区域」の中のみ必要になる税金です。土地だけでも建物があっても同じです。

都市計画区域とは、国土交通省の定義では「一体の都市として捉える必要がある区域」とされます。都市部よりは、どちらかというと「郊外」の地域が多いものです。たとえば東京都では下のような都市計画区域があります。

  • 八王子都市計画区域(八王子市)
  • 調布都市計画区域(調布市・狛江市)
  • 東村山都市計画区域(東村山市・清瀬市・東久留米市)
  • 小笠原都市計画区域(父島・母島)

八王子市のように単独で都市計画区域となる場合もあれば、他の市区町村・島のように「複数で一つの都市計画区域となる」場合もあります。特に複数のケースを見れば「一体の都市として考える」という意味を実感しやすいでしょう。

(自治体の枠を超えて計画を共有するということです)

このような都市計画区域の中に借地・建物を持っている場合は、固定資産税と合わせて都市計画税もかかります。

固定資産税と同じく「建物のみ」かかる

借地権に関していえば、都市計画税も固定資産税と同じで「建物だけ」にかかります。土地の分は地主が払うルールです。

建物がないならかからない(駐車場など)

そして、建物がない場合は「何の所有権も持っていない」「土地については賃借権しかない」ということで、何の税金もかかりません。この点も固定資産税と同じです。

借地権にかかるその他の税金・一覧

TAXという文字と、コインと家の模型

借地権の固定資産税が気になる人は、その他の税金についても知りたいことが多いでしょう。借地権でかかるその他の税金を一覧にすると、以下の通りです。

  1. 不動産取得税
  2. 譲渡税
  3. 相続税
  4. 贈与税
  5. 認定課税

それぞれ説明していきます。

不動産取得税

不動産取得税は「不動産が自分のものになった時」に発生する税金です。借地権の場合は主に下の2つのケースで発生します。

  • 借地の上に自分の家を建てた
  • 「借地権付き建物」を買った

要は「新築か中古か」ということですが、どちらにしても「建物が自分のものになった」わけです。この段階で不動産取得税がかかります。

譲渡税

譲渡税は「売却税」と思ってください。不動産を売ることを「譲渡」といいますが、その利益にかかる税金が譲渡税です。普通の税金でいうと「所得税」に近い感覚です。

厳密には「譲渡税」という言葉はない

実は、譲渡税という言葉は正式にはありません。特に正式名称はないのですが、あえて正式名称をつけるとしたら、下のようになります。

譲渡所得にかかる所得税と住民税

これだと長いので「譲渡税」か「譲渡所得税」呼ばれています。この点は、ライフルホームズでも下のように説明しています。

譲渡税とは、譲渡所得にかかる所得税と住民税に対する俗称です。
譲渡所得に対しては、所得税と住民税がかかるので、一般的に譲渡税とか譲渡所得税とよんでいます。
不動産用語集「譲渡税」(ライフルホームズ)

国に納める「所得税」と、自治体に納める「住民税」が別々に課税されるので、この点も注意が必要です。

相続税

借地権は相続もできます。そして、相続をした場合には他の遺産と同様に相続税がかかります。

借地権の相続税の計算方法

借地権の相続税は、まず下の式で「借地権評価額」を出します。

更地価格×借地権割合

更地価格は「自用地価額」といわれることもありますが、どちらでも同じ意味です。それぞれの出し方を簡単に書くと下の通りです。

更地価格 国税庁のサイトで路線価を調べ、その路線価に面積を掛ける
借地権割合 同じく国税庁のサイトに、自分のエリアでの借地権割合が書かれている

要は、どちらも「国税庁のサイトでわかる」ということです。具体的には下のページです。

※参考…路線価図・評価倍率表(国税庁)
http://www.rosenka.nta.go.jp/

評価額を出した後の計算方法

評価額を出したら、その後は下のように計算します。

評価額×税率-控除額

税率と控除額は、評価額によって変わります。いずれも国税庁の下のページでわかります。

※参考…相続税の税率(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

贈与税

贈与税は「借地権をただでもらった」時にかかる税金です。もらった人が払います。あげた人は払う必要はありません。

贈与税の計算のやり方は、相続税とほぼ同じです。

  • 評価額を出す
  • その評価額に税率を掛け、控除額を引く

違いは「相続税率」ではなく「贈与税率」が適用される点です。贈与税の税率も国税庁の公式ページでわかります。

※参考…贈与税の計算と税率(国税庁)
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4408.htm

認定課税

認定課税は法人にかかるものです。「本来、権利金を払うのが当然の場面で、権利金を払わなかった時」に発生します。箇条書きで説明すると以下の通りです。

  • 土地を借りる時、大抵は地主に権利金を払う
  • しかし、それを払わずに会社が土地を借りることがある
  • この場合「権利金の分、その会社は得した」といえる
  • そのため、この金額分は「地主から贈与を受けた」とみなされる
  • そして、贈与税が課される

このような仕組みです。専門家の説明を引用すると下のようになります。

法人税では、法人が権利金慣行のある土地を、権利金を支払わず借受けて、自社ビルを建築したような場合には、地主から権利金相当額の贈与を受けたものとして課税が行われることになっている。
法人税と借地権の認定課税(株式会社税研情報センター)

このような取引が起きる理由を説明すると長くなるため、ここでは割愛します。ただ、最終的には「必ず地主か法人どちらかに、権利金の分の課税がなされる」ということです。

まとめ

コインと家の模型

以上、借地権にかかる固定資産税について説明してきました。最後にポイントをまとめると、下の通りです。

借地権の固定資産税・まとめ
  • 土地の分にはかからない(地主が払う)
  • 建物の分にはかかる(自分が払う)
  • 建物がないなら固定資産税はない(地主が土地の分を払うだけ)
  • 建物がないなら、そもそも借地権自体が発生しない
  • ↑(土地の賃借権になる)
  • 地域によっては都市計画税もかかる

固定資産税は、所得税などと比較してそれほど税率が高くありません。そのため、よほど広大な土地の借地権を持たない限りは「固定資産税を払えなくて破産」などということはないでしょう。

ただ、固定資産税が発生することを知らずに、課税通知が届く4月頃に長期バカンスなどに出かけると、滞納してしまう可能性もあります。また、10万円~数十万円程度でも、やはり予期せぬ出費が生じるのは痛いでしょう。

これらのトラブルを避けるために、借地権の住宅や店舗などを利用するときは、この記事で解説した固定資産税に関する知識も、十分に備えていただけたらと思います。