借地権の基礎知識

借地承諾書の書き方は?地主の許可が必要なケース・文例を解説!

借地権の利用に関して、地主の承諾が必要な内容は多くあります。そうした利用をする時に必要になるのが「借地承諾書」です。

この借地承諾書について、下のような疑問を持つ人は多くいるでしょう。

  • どんなケースで必要になるのか
  • どのように書けばいいのか

この記事では、上記の2つのポイントを中心に、借地承諾書について解説していきます。この記事を読んでいただくことで、借地権に関する各種の承諾の手続きを、よりスムーズにしていただけるでしょう。

借地承諾書が必要になるケース

書類にサインをする人と指示する人

借地承諾書が必要になるケースは、主に下の4つがあります。

  1. 借地権を売却する
  2. 借地権を転貸する
  3. 借地権上の建物を建て替える
  4. 借地権の契約を終わらせる

以下、それぞれ詳しく説明していきます。

借地権を売却する

借地人(借地権の借り手)は、借地権を第三者に売ることもできます。ただし、これは地主の承諾が必要です。

一方,借地権の譲渡には地主の承諾が必要です。
無断譲渡となると,借地契約を解除されます。
借地権譲渡承諾とは?(みずほ中央法律事務所)

この売却(譲渡)をする時「借地権譲渡承諾書」という書類を地主が発行します。

借地権を転貸する

借地人は、借地を売るだけでなく「貸し出す」こともできます。いわゆる「又貸し」ですが、これも地主の承諾が必要となります。

この場合の承諾書は「転貸承諾書」ですが、ネット上の雛形では「譲渡承諾書」というタイトルで配布されているものが多くあります。

(譲渡承諾書の雛形の文章を、転貸にも応用できるようになっています)

※参考…定借関連書式(埼玉県定期借地借家権推進機構)
http://www.teisyaku.net/article/15466741.html

借地権上の建物を建て替える

借地で建て替えをするときも、地主から承諾をもらう必要があります。どのくらいの建て替えで承諾が必要になるか、まとめると下記の通りです。

建て替え・増改築の内容 承諾の要不要
敷地内に別の建物を立てる(新築) 必要
今の建物に建て増しする(増築) 必要
今の建物の屋根・柱などの骨格を変更する(改築) 必要
今の建物の骨格を変えずリフォームする(改装) 不要
今の建物の壊れた部分を直す(修繕) 不要

基準は「骨格部分が変わるかどうか」です。変わる場合は許可が必要、そうでなければ不要ということです。たとえばキッチン・浴場のフルリフォームなどは、骨格が変わらないので地主の承諾を取る必要はありません。

承諾が必要な増改築については、「増改築等承諾書」を地主が発行します。

借地上の建物の増改築は,契約書の条項で禁止されているのが通常です。
(中略)
建替については,借地の状況によっては,法律上も禁止されます。
正確には地主の承諾が必要ということです。
借地上の建物の増改築,建替の承諾とは?(みずほ中央法律事務所)

借地権の契約を終わらせる

契約期間中に、借り手から借地権の契約を終了させることにも、地主の承諾が必要です。地主としては本来その期間得られるはずだった利益を得られなくなるので、その分の補償を受ける権利もあります。

この場合の必要書類は承諾書とは少し違いますが「終了通知」といい、借り手から地主に対して発行します。地主はそれに対して承諾のサインをするため、見方によってはこれも承諾書の一つです。


上記のケース以外にも、地主の承諾が必要な場面ではすべて「借地承諾書」が登場します。それぞれの承諾書の雛形をネットでダウンロードし、編集して活用しましょう。

借地承諾書の作成・4つのポイント

書類を作成する人

借地承諾書は、下の4つのポイントが書かれていれば成立します。

  1. 「地主・借り主」は誰か
  2. 「何を」承諾するのか
  3. 「どんな条件」で承諾するのか
  4. 「対象の土地」はどの土地か

以下、それぞれのポイントについて説明します。

「地主・借り主」は誰か

どんな書類も、当事者は「二者」に分かれます。片方が複数人だったとしても「2つの陣営」に分かれるということです。

借地承諾書の場合、その二者は「地主・借り主」です。そのため、双方がそれぞれ誰なのかをハッキリ書きます。

「甲乙」にしなくてもいい

契約書でよくあるパターンは、それぞれを「甲・乙」と呼ぶパターンです。しかし、これは「どちらが甲でどちらが乙かわからなくなる」ということがよくあります(こうした手続きに慣れていない方の場合)。

そのため、当記事ではもう少しわかりやすい「貴殿・私」という表現を使っています。これなら「どちらのことを言っているか」がわかりやすいので、この書き方がおすすめです。

「何を」承諾するのか

文章では「誰が・何を」が基本となりますが、それは借地承諾書でも同じです。承諾書という名前のとおり、地主が何かを承諾するわけですが「何を承諾するのか」を明記します。

承諾する内容は主に下のようなものです。

  • 借地権の譲渡(売却)
  • 借地権の賃貸(転貸)
  • 借地上の建物の建て替え
  • 借地の用途変更

その他、地主の承諾が必要になる内容ならすべてに発生しますが、いずれも「この内容を承諾する」ということを明記します。

「どんな条件」で承諾するのか

承諾には「具体的な条件」があるはずです。たとえば賃貸なら、誰でも「反社会勢力には賃貸しない」という条件をつけるでしょう。

このような基本的なことと合わせて、下のような内容を定めていきます(内容は自由です)。

  • 「誰に」貸すのか
  • 「いくら」で貸すのか
  • 「いつまで」貸すのか

上記は賃貸の例ですが、売却などでも同じようなことを1つ1つ決めていきます。

「相手となる第三者が決定してから」のことも多い

上記の「誰に貸すのか」については、賃貸される借地(&建物)の利用者が決まっていなければ、借地の借り主も書けません。

  • Aさん…地主
  • Bさん…借地人(土地の借り手)
  • Cさん…賃貸の利用者

上記のような登場人物だったら、Cさんが決定してから承諾書を書くこともあります。このあたりは地主の判断次第です。

地主が「まだCさんが誰か決まっていなくてもいい」という場合は、賃貸の条件だけ決めるなどの方法で、承諾書を作成できます。こうしたルールについては、借り主と地主の信頼関係などによって変動するものです。

「対象の土地」はどの土地か

不動産に関する書類は、すべて「対象の不動産は何か」を明記する必要があります。借地承諾書でも「対象の土地はどれか」を示すことが必要です。

これを不動産用語で「土地の表示」といいます。

土地の表示のルール

土地の表示では、下の4項目を書きます。

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積

それぞれの意味を簡単に書くと下記の通りです。

所在 「大まかな」住所
地番 番地(細かい住所)
地目 土地の利用用途(宅地・農地など)
地積 面積のこと

これらの情報については間違わないよう、登記簿謄本を取り寄せて、それを見ながら書くようにしましょう。

借地承諾書の文例

書面

ここでは、借地承諾書(譲渡承諾書)の文例を示します。ここでは「どのような内容を書くのか」がわかりやすく伝わるよう、少し砕けた表現にしています。

「一般的なお堅い表現の方が安心」という場合は、後で示す参考URLから雛形をダウンロードして、そちらを使用してください。

(以下、文例です)


         借地権譲渡承諾書

               平成○○年○月○日
(賃借人)
        殿

(賃貸人)

    • 住所:
    • 氏名:     印

    1.私は、私が所有する土地(後記)を貴殿に賃貸中ですが、貴殿が後記土地の借地権を譲渡すること等について、下記の条件で承諾します。

             ―記―

    (1)譲受人

    • 住所:
    • 氏名:

    (2)貴殿が私に対し、承諾料として下記の金員を支払うこと(借地権譲受人との土地賃貸借契約時までに)。

    金○○○○円也

    上記は、下記の各承諾に対する対価も含む。

    • 再建築
    • 増改築
    • 期間変更
    • 条件変更

    (3)譲受人との賃貸借条件を下記の通りにすること。

    ※選択肢があるものは、どちらかを記入する。借地人に○を付けてもらってもいい。

    (1)目的 ( 非堅固 ・ 堅固 )建物の所有
    (2)登記の有無 有 ・ 無
    (3)地代 1カ月  金○○○○円也
    (4)賃貸借の期間
    1. 譲受人との土地賃貸借の契約開始日から満○○年間
    2. 貴殿と私の間での、土地賃貸借の契約存続期間(期限 平成○○年○月○日まで)

      (4)その他(※自由に記載)


      2.貴殿が私に対して持つ敷金・保証金の返還請求権も、合わせて借地権譲受人に譲渡されることを承諾します。

      3.私は下記の各種手続きに協力します。

      • 土地賃貸契約書の作成
      • 建物抵当権登記への承諾書の作成

      上記手続きに必要な一切の作業について、私は全面的に協力します。
      上記以外の作業への協力は、貴殿と私で別途協議します。

               土地の表示

      所在 地番 地目 地積
        ㎡
        ㎡
        ㎡
      合計   ㎡
      借地面積   ㎡

      ※参考…借地権譲渡承諾書(株式会社東昭エンタープライズ)
      http://www.t-enterprise.co.jp/work/syoshiki/05.doc

      ここで示した文例は、上記のWordファイルを多めに改変させていただいたものです(全体的に、企画書のように読みやすい表現・レイアウトにしています)。

      まとめ

      握手する二人

      以上、借地承諾書が必要になるケースや、書く内容などを解説してきました。最後にポイントをまとめると、下のようになります。

      借地承諾書・まとめ
      • 地主の承諾が必要なケースでは、すべてそれぞれの承諾書が登場する
      • 特に多いケースは、借地権の売却や転貸、建物の増改築など
      • 借地承諾書に決まった形式はない
      • ネット上で配布されている無料のテンプレートでOK

      借地承諾書に限らず、あらゆる書類の形式は私たちが思うより遥かに自由で「簡単な言葉で書いてもいい」ものです。ただ、相手に「きっちりした印象」を与えるには、やはり一般的な「法律文書のような書き方」の書類を作成する方がいいでしょう。

      Web上の雛形をそのまま使えばそのような書類になります。わからない部分は専門家に相談しつつ、効率的に承諾書を作成するようにしてください。